2.皮膚病を探る
2. 皮膚病を探る: 免疫/炎症性疾患と形成性疾患
皮膚疾患を考えていくために、次に生体を外敵から防御する機構=免疫系を考えます。
● 炎症性疾患=免疫系が、けっこう大活躍な感じの疾患。
● 形成性疾患=免疫系が、わりあい無関心な感じの疾患。
★皮膚の何が異常なのか、見て・触って・考えれば、けっこう判ります。
・ 湿疹 や 乾癬、蕁麻疹 や 蜂巣炎 は、荒れたり赤く腫れたり → 炎症性疾患
・ イボ や 皮膚がん、アザ や 白斑 は、何か増えたり減ったり → 形成性疾患
★見た感じの性質に応じて、どんな 治療 が効きそうか、大ざっぱに目処がつきます。
・ 炎症性疾患 → 内科的・薬物的治療: ぬり薬、飲み薬、注射薬、光線?、…
・ 形成性疾患 → 外科的・手術的治療: 剥削、冷凍、レーザー、切除縫縮、…
★生体が病的な状態に陥った場合、まずは外敵の存在を疑って、免疫系が反応します。 しかし、真の敵がいなかったり、敵は身中にいたりして、思うに任せぬのもまた事実。
一方で例えば、異常な細胞の増殖=腫瘍、があればそれだけで病的です。 細胞が正常でも、数や機能が足りなければそれもまた、免疫と関係なく病気です。
そこで、免疫系の発動の有無に応じて、炎症性と形成性に二分したくなるのです。
★免疫系は多種多様な細胞のネットワークからなる壮大な生体機構です。 その発動や異常があるのかないのか、そう簡単には判りません。で・す・が。
少なくとも、それを担当する細胞たちを 組織学=顕微鏡 的に特定できます。
一方で例えば、腫瘍細胞もまずは組織学的に、正常細胞から区別できます。
★正常組織に比べてどこが異常そうなのか、肉眼で判らないことがわりあい判ります。
「顕微鏡は我らが伴侶」 ── 皮膚科学は、肉眼的・組織学的観察から始まります。